ズボン買ったら裾上げは絶対に必要なのに、どうして裾上げ料金を別で取るんだろう? 裾上げ無料なんて当たり前じゃないのかなぁ???
確かに、ズボン買ったら裾上げは必須なんだけど、裾上げの作業自体には絶対にお金がかかっているんだよ。それをどこが負担しているかを考えると、むしろ逆に裾上げ料金を積極的に払いたくなるよ!
そもそも、「補正(お直し)」とは
代表的なもので「裾上げ」という作業がありますが、要するに「出来合いのモノを着るヒトに合わせる作業」の事です。前述の「裾上げ」を筆頭に、必要に応じて袖、腰、着丈、各種幅を広げたり詰めたりします。
どのくらいお直しできるのか?
既製服の枠で、頻度が高い順番にお話します。全て、バランスが崩れない範囲という前提になります。
裾上げ
裾上げは範囲内ならいくらでもできます。究極、半ズボンレベルまで行けますが、ここまで行くとリメイクのレベルですね。
ウエストの出し/詰め
詰めたり出したりで±4センチ程度の微調整ですね。そこから大きく離れて袖丈、裾幅などの調整ができます。あくまで、「微調整」というのがポイントです。詰めはバランスのみ気にすれば大丈夫ですが、出しは縫い目が表に出てきて見栄えが悪くなってしまう可能性があることを注意する必要があります。パンツ購入時点でしっかりとシルエットを確認して、原則としてウエストは詰めるものとして考えてやるほうが出来上がりがきれいになります。
どこで直すのがもっともオトクなのか?
買ったお店でキチンと補正をするのが最もオトクです。
購入店での補正がお得な理由
何故か。ほぼ原価で補正をしてもらえるから。販売店にとって「補正」とは、商品売る為に必要なサービスだからです。通販で言う送料みたいなイメージです。逆に、「町のお直し屋さん」がどういうビジネスなのかを考えるとわかりやすいと思います。お直し料金が収入源になりますから、ここで儲ける必要がありますよね。
他にも技術料に加えて「補償金」みたいなお金も欲しいです。なぜならリスクがあるから。壊しちゃうかもしれないですし、高い洋服は高いですから。やってみなくてはわからない上に、誰が作ったのか分からない、保障しようにも現物しかないのでお金での保障になってしまう。これらのリスクに対する費用です。
その点、販売店であれば、「交換」若しくは最悪「返金」ということが出来ます。お直し屋さんが販売価格ベースでの保障になるのに対して、販売店は原価ですので、これらの対リスク費用が大幅に削減できるというのが強いです。 取扱数量の差も無視できない理由です。定期的に多量のお直しのお仕事が確保できる環境である為仕事の量が確保できる。これは単価を下げることが出来る要因となります。
大まかに、これらの理由から、購入店での補正が最もお買い得となります。但し、質が伴うかはまた別の話です。※最低限度の品質は当然ながら保障されます。特に技術を売りとするお直し屋さんの存在に対するフォローです。が、ここではこれを別次元の話と捉えます。
何故、裾上げ料金とることが良心的なのか
特にパンツが顕著ですが、裾上げをしないと着用できませんよね。使えないものを使えるようにするのに買った人が追加でお金を払うことに違和感を覚える。この気持ちは良くわかります。しかし、むしろお客様に誠実であればこそ、裾上げ料金を取る必要があるのです。裾上げ料金を取るお店は、むしろ優良である!
お直しがどのような作業であったとしても、そこに工程があればその分のコストは発生します。では、裾上げ裾上げ料金が無料というのは見方を変えるとどう考えることが出来るか? 支払っているお金が商品代金だけならば、既に商品代金に含まれているビジネスモデルだと考えることが出来る。 さらに深く考えてみます。果たして、作成されたズボンは全て売れるモノなのでしょうか?
一般的に、完全受注生産でもない限りいくらかは廃棄によるロスがでます。販売店というか、売上とは基本「客数×客単価」であり、このロスをどこで相殺するか? 当然、利益から相殺するしかない。 もうお分かりになると思います。スーツやズボンに補正料金を組み込んだ価格設定をした場合、このロス分をお客様に負担させてしまうことになるわけです。また、「どんな補正をしてもお値段変わりません!」みたいな売り文句、非常に魅力的ではありますがこれも同じです。 これはこのお直し料金を購入者全員で案分し、負担しているに過ぎません。工程には必ずコストが発生しますから、絶対にどこからかお金を回収しているのです。
そして。どこを直すかはまさに「人それぞれ」です。人それぞれなのだから、補正料金は「受益者負担」である事が望ましく、別途、料金を発生させ、請求することが公平であり、誠実なことだということです。
この考え方を発展させていくと、オーダーメイドや、セミオーダーで別途補正料金がかからない理由も説明できます。これらの方式は「補正すること」が前提になります。生地、付属(ボタンとか)代以外でかかる費用の半分以上は補正料金と言ってもいいくらいです。ゆえに、どれだけ細かく補正をしても追加費用が掛からないのではなく、予め料金に含まれているビジネスモデルであるというのが適切な考え方になります。
- メディア: おもちゃ&ホビー
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