結論、株価が下がっているのに儲けが出るのは「売り」から入っているから
今の環境と一般的な利益のイメージ
連日、これでもかというほど株価が下落しています。株価下落の要因は一つではありませんが、コロナウイルス、蝗害、レバノンのデフォルト、原油価格の下落などネガティブな要素、いわゆる悪材料に事欠きません。
一般的な「株式で利益を出す」イメージでは、例えば100円で購入した株式が、業績好調などのポジティブな要因で150円になって、差額の50円利益が出たというものではないでしょうか。
では、今の環境で利益を出している人は、マスクを製造している会社などの株を都合よく持っている人たちなのでしょうか?
もちろんそういう人も居るでしょうが、この状況で利益を出している大半の人は「売り」で利益を出しています。
注目すべきは「値動き」
ここは重要なので必ず理解してほしいのですが、株式などの変動相場の商品で利益や損失が出る要素は「値動き」になります。「値動き」があればこそ、利益・損失が発生するのです。だから、今の相場で注目されているのは「値動きの大きさ」なのです。
売りのリスクは破滅すること
「売り」とは何か
では「売り」とはなんでしょう? 売りの逆は「買い」です。買いはイメージしやすいですね。言葉の通り、市場で100円で取引されている株式を100円で購入し、値上がりしたら利益が出て、値下がりしたら損失が出るというものです。 「売り」とは逆で、市場で100円で取引されている株をまず売るのです。ここが「売り」を理解しづらくしているポイントで、売るも何も、持っていないものをどうやって売るんだ?という謎です。 これは単純に誰かから借りて売ります。仕組みはこのようなイメージです。
1.わたしはA社の株価が下がると考えていて、わたしはA社の株式を持っていない
2.あなたはA社の株価が上がると考えて、あなたはA社の株価を持っている
3.わたしはあなたに、A社の株を貸してほしいとお願いする
4.あなたはわたしに、A社の株を貸す
5.わたしとあなたは次の約束をする
①手数料を支払うこと
②株式は半年後に返却すること
6.わたしはあなたから借りたA社の株を市場で売り払う
7.半年後、わたしはあなたから借りたA社の株を返却しなくてはならないから、市場で株式を買い戻す
8.市場から買い戻した株式を、わたしはあなたに返却する
一連の流れで、わたしが株式を買い戻すとき、あなたが株を貸してくれた時よりも、A社の株価が下がっていれば、その差額がわたしの利益になり、A社の株価が上がっていればその差額がわたしの損失になります。
あなたに株を借りたときのA社の株価が100円だとしたら。わたしは株を借りた瞬間にその株を売却して100円手に入れる。半年後、A社の株が50円になっていた場合、50円で株を買ってあなたに返却するので差額の50円がわたしの利益になります。逆にA社の株価が150円に値上がりしていたら、150円で買い戻さないとあなたに株の返却ができないので、差額のマイナス50円がわたしの損失ということです。
ETF現物で売りをやれば破滅はしない
信用で売るから破滅する
信用で売ると破滅する可能性があるのは何故か。 超わかりやすいイメージとして、借りたお金でギャンブルするようなものだからです。
先ほどの流れで気づいた人がいるかもしれませんが、株を借りる時、借りたわたしは貸してくれたあなたに手数料しか払っていません。そのうえで、わたしは株を借りた瞬間、市場で株を売り払って現金を得ています。手数料はここから支払えます。この時点では破滅しません。 じゃあなんで破滅するか。破滅する例を見てみましょう。
1.わたしはあなたからA社の株を株価100円の時に1株借りる(半年後返す)
2.わたしはあなたから借りたA社の株を市場で売り払い、100円の現金を得る
3.わたしはあなたに手数料5円を支払い、残金が95円になる
4.半年後、A社の株価が500円になっていた
5.わたしはあなたにA社の株を返却するために、500円で株を買わなくてはならない
6.しかし、わたしは95円しかお金がないため、株を買い戻すことができない
7.返済期日で、強制決済&借金のコンボが決まり、損失が確定する
このような形で破滅します。下落はゼロという「終点」がありますが、上昇は原理原則として青天井であり「終点」はありません。だから破滅するわけですね。
ETF現物で売りをすれば、日本経済が破綻しない限り、破滅はしない
日経平均株価連動型ETFの「ブル」「ベア」のかんたんな説明
まずETFとは何ぞや?ということですが、ざっくり株式みたいに自由に売り買いできる流動性のある「投資信託」だと理解いただければOKです。そして、このETFには日経平均株価に連動する商品が存在します。
次に日経平均とは何ぞや?ということですが、日本経済新聞社が選んだ225種類の会社の株価の平均みたいなもんだと思ってください。
これらを総合すると、「日経平均株価連動型ETF」という商品を一つ(一株)買うというのは、日経平均株価構成銘柄225社全部の株を少しずつ購入するということなんだと思ってください。
そのうえで、この「日経平均株価連動型ETF」には、「ブル」と「ベア」という商品タイプが存在します。「ブル」とは普通に日経平均株価が上昇すれば利益が発生するタイプの投資信託商品です。「ベア」とは逆に、日経平均株価が下落すると利益が出るという謎の動きをする投資信託商品です。
投資信託商品という点が重要で、「ベア」とはやっていることは売り(空売り)と同じようなことなのですが、投資信託商品なので購入できるという点が重要です。「日経平均株価が下がった時に利益をもらえる権利を買う」と言えばイメージしやすいでしょうか。 つまり、買った分しか損しない!ではなくて、買った分しか損できない仕組みなので、売りで入りながらも損失リスクのコントロールが容易にできる仕組みだということです。
現物で取引できると、期限を考えなくてよくなる
もうひとつ現物取引をするメリットがあります。それは、期限を考えなくてよくなることです。株を借りて売る方式だと、返さなくてはならない期限があります。その期限までに返しますという「約束」がありますから、その時点の株価に関係なく強制決済しなくてはなりません。あと3日で株価が大きく下がることがわかっていても、これを待つことはできません。約束が優先されます。いわゆる「塩漬け」ができることも、現物取引のメリットの一つです。
日経平均株価連動型ETFがゼロになる状況では円に価値がない
まず、日経平均株価を構成している銘柄を確認してみてください。
→日経平均採用銘柄の株価一覧 :株式 :マーケット :日経電子版
確認していただけましたでしょうか? さて、この知識がある前提で、日経平均株価連動型ETFの価値がゼロになるとはどういうことか?を考えてみましょう。
禅問答みたいですが、日経平均株価連動型ETFの価値がゼロだということは、日経平均採用銘柄の会社すべての株価がゼロになっている状態です。 日経平均株価の存在意義、存在価値は「今の日本の状況の数値化」であり、構成銘柄は(入れ替わりはあるにせよ)トヨタ自動車や三菱商事などのそうそうたる顔ぶれです。 これらの価値がゼロになった経済/社会ってどんな状態だろう?って考えると、それは日本経済自体が破綻している状態だといっても過言ではないでしょう。
→参考「新顔」選び 基準は流動性と業種バランス|マネー研究所|NIKKEI STYLE
そして、この状態で「円」にどれほどの価値があるのかを考えると、「日本」という枠組みの中では十分なバランスの商品であることが理解できると思います。
まとめ 損失も、利益も「値動き」によって発生する。知識を広げ、選択肢を持つことが重要!
「ベア」はリスクヘッジにもなることを理解する
以上の知識を持っておくと、株式投資を行うにしても、株価が十分の下がり切った(底打ち)状態で、安く株を買おう!という発想以外にも、株価が下がると予想できるなら、日経平均株価連動型ETFの「ベア(売り)」でリスクヘッジしておこう!という発想が出てくるようになります。そう、「ベア」を持っておくということは、株価が下がった時のダメージを軽減することができるということ、リスクヘッジにもなる手段だということなのです。
重要なのは選択肢
だから、どういったものが存在するか?という知識を広げることが重要なのです。メリット、リスク、いろいろありますが、その前提にあるのは「判断」であり、「何から判断するの?」を考えれば「知っていることからしか判断できない」という当たり前の事実があります。 選択肢の中に「正解」がないという状況が、どれほど厳しいものかイメージできると思います。 勉強が重要な理由はこれです。 そして「実際にやってみる」に勝るものはありません。 今の状況は10年に1度あるかないかの状況だといわれています。 少額で良い、それこそ100円でも良いので、こういう10年に一度の機会に、自分のお金を使って、得難い経験を積んでいただくこと。それが、この記事の価値であり、あなたにとって価値のあることだと信じ、願い、本エントリを〆させていただきます。
おまけ 証券口座
どこの証券会社でETFや株式を購入しても価値は同じです。トヨタ自動車の株価が 6,000円なら、SBI証券で買っても、楽天証券で買っても、DMM証券で買っても6,000円の価値です。なので、じぶんが使いやすいところで決めれば良いのですが、そんなものは使ってみないとわからないので、確実に比較できて確実に有利になる「手数料が安いところ」で取り合えず口座を開いて使ってみるのが良いと思います。維持管理に費用は掛からないので、複数口座をもってもお金はかかりません。
やや中級者むけのお話になりますが、相場が荒れている時に、システムダウンするような証券会社もあるので、複数口座を開いておくことは、リスクヘッジでもあります。
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